経済安全保障時代のビジネス・ウォーゲーミングのススメ
ビジネス・ウォーゲーミング(Business Wargaming)は、1950年代後半、軍事におけるウォーゲーミングの発展を受けて、主に社員の教育・訓練を目的に "business gaming" や "management simulation" として始まったとされる。企業の危機管理能力開発として、オイルショックを契機にシナリオ・プランニングが有用なツールとして活用されてきたように、欧米ではビジネス・ウォーゲーミングもそれなりに注目され、非公開の場で活発に実施されているようである。このことは、各国のコネクションズに参加していればよくわかる。
このビジネス・ウォーゲーミング、当初の教育・訓練という限定的用途から発展し、今では戦略企画・検証(テスト)、危機管理準備、先見性錬磨、経営転換、人材発掘等幅広く応用されている。
経済安全保障が益々重要になっている今、不拡散問題における経済制裁に関する諸課題への検討と併せ、政府・軍も産業界・企業との共同ウォーゲーミングにも視野を広げる必要があろう。他方、特に日本の産業界・企業の側も、ビジネス・ウォーゲーミングを危機管理を含む安全保障の観点から意思決定のツールとして積極的に学習する必要があろう。
政府と企業の連携が不可欠な経済安全保障において、ビジネス・ウォーゲーミングは連携の在り方を含め多くの点で有益な示唆を与えてくれるのではないだろうか。
参考:Daniel F. Oriesek and Jan Oliver Schwartz, Business Wargaming: Securing Corporate Value (GOWER, 2008)
(了)
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