2022年12月24日土曜日

米国務省紛争・安定化作戦局(CSO)が求めるウォーゲーミング専門家

 米国務省紛争・安定化作戦局(CSO)が求めるウォーゲーミング専門家





 米国務省の紛争・安定化作戦局(Bureau of Conflict and Stabalization Operations)が、ウォーゲーミング専門家を求めている。本ブログの主要テーマの1つである、ウォーゲーミング専門家に求められている能力、という観点から同機関が公開している求人広告内容を眺めてみたい。

 同機関が求める人材が就くポストは計画・監視・評価室「企画・ゲーミング専門官(Planning and Gaming Specialist)」というものであり、CSOの企画方アドバイザーとして計画・戦略企画執行及び関連の戦略企画に従事することになる。勤務場所はワシントンDCである。

 主要任務の中身は、

  • 机上演習(TTX)を利用して主催国と市民社会のパースペクティブを長期的な安定化戦略に統合、または戦略履行に関する協力関係の調整、
  • 大量殺戮に備え不測事態対応の計画、
  • 国務省指導部が要請する「低蓋然性・高烈度シナリオ」の計画の展開、
  • 国防省の安定化作戦計画の強化、

 である。

 さらに、具体的な役割は次のとおりである。

  • 各種計画の枠組みの更新し政策サイドのニーズへの対応を定型化、
  • 紛争・安定化作戦局の企画官育成のため、訓練専門官及び企画補佐官と協力して戦略企画・ゲーミングの訓練を開発・実施

 そして、要求される専門性は、

  • シナリオ企画、
  • 戦略的ゲーミング、または
  • レッド・ティーミング分析技法、

である。

 勿論、国家公務員に足る「秘密取扱者適格性確認(クリアランス)」をクリアしなければならない。

 さらに、紛争解決等専攻、修士号以上の学位取得、海外留学・勤務経験があればなお望ましい。

以上を見ると、かなりハードルは高い。ウォーゲーミングに関する能力のみならず、+アルファの部分がかなり多い。むしろ、ウォーゲーミングに関する専門性は前提で、+アルファの部分が採用の決定要因となるであろう。

但し、この場合のウォーゲーミングに関する専門能力は、低蓋然性・高烈度シナリオ作成能力、レッド・ティーミング、教育・訓練能力も含むものであり、単なるウォーゲーム・デザインのレベルを越える、いわば万能型(all-in-one type)の能力に近い。

現在欧米ではウォーゲーミング専門家のジョブ・マーケットが激しく動いているようなので、このポストがどの程度早期に埋まるか見ものである。


(了)

2022年12月10日土曜日

提言 日米両政府によるウォーゲーミングの定例化(笹川平和財団)

提言

日米両政府によるウォーゲーミングの定例化

 12月9日、笹川平和財団より政策提言日米両政府によるウォーゲーミングの定例化」が出ました。

 ご意見等あれば宜しくお願いします。

             (了)

2022年12月9日金曜日

ウォーゲーミングにおけるコンピュータ利用に関する研究例

 ウォーゲーミングにおけるコンピュータ利用に関する研究例の紹介


 コンピュータとウォーゲーミングの関係は、ウォーゲーミング研究において長年のテーマです。元英国防科学技術研究所(dstl: Defence Science and Technology Laboratory)のウォーゲーミング専門家である友人から教えてもらった、この問題に関する最近の論文を紹介します。
 米国にある Improbable, US Defense and National Security という防衛技術(特にソフト)に特化したスタートアップの研究者2名が発表した "Effectively Integrating Technology into Wargames" は、ウォーゲーミングにおけるコンピュータの利用について、500名以上のウォーゲーミング専門家に対するインタービュー調査の結果を基に裁定、有用性、没頭度、分析(analytics)の4つの点で検討しています。

 技術開発者たる同論文筆者たちの問題意識は、コンピュータ(ソフトを含め)をいかにウォーゲーミングに統合するか、ということのようですが、本ブログ筆者はコンピュータは特に裁定、経過表現(動的グラフ等)、そして分析に有用と考えています。勿論、それはソフトに備わっているAI機能の有用性も含めてです。要はデザインする側がコンピュータ利用が必要な場合いかにその強みを活かすかということです。不要であれば使わなければよい。当然ですが。

(了)

2022年12月4日日曜日

レッド・ティーミングのサイト紹介の続報

 

レッド・ティーミングのサイト紹介(続報)


 以前本ブログで紹介したレッド・ティーミングについての続報です。


米軍統合ドクトリン

 "Command Red Team", Joint Doctrine Note 1-16, 16 May 2016, US DOD

米軍教育機関

 "Red Teaming Courses and Education", University of Foreign Military and Cultural Studies US Army(同機関の課程紹介サイト


 米軍事オペレーションズ・リサーチ学会(MORS)のウォーゲーミング・コミュニティーで今になってこうした情報収集及び共有が急速に進展しています。

(了)

続報 2024年度米コネクションズ・ウォーゲーミング専門家会議参加登録及び宿泊情報(Breaking News: Connections US Professional Wargaming Conference 2024 Registration and Hotel Info)

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