2023年2月28日火曜日

記事紹介:ワシントン・ポスト紙「ウクライナの対露ウォーゲーム」(WP "Inside the Ukrainian counteroffensive that shocked Putin and reshaped the war")

記事紹介

ワシントン・ポスト紙「ウクライナの対露ウォーゲーム」


 2022年12月29日、米ワシントン・ポスト紙の記事 "Inside the Ukrainian counteroffensive that shocked Putin and reshaped the warは、対露戦中のウクライナおよび米英がそれぞれ個別にウォーゲーム(TTX)を実施したところ、いずれもウクライナに不利な結果が出たものの、その結果を踏まえてウクライナが米英に助言を求めた旨報じています。ウクライナの現在の善戦の一部は、そうしたウォーゲームの成果であることが示唆されています。
 この記事の存在はPAXsimsのRex Brynen教授のご教示で知りました。

(了)
 

速報 米統合軍「競争のための統合コンセプト」(Joint Concpet for Competing)(公開版/Unclassified)発表とウォーゲーミングの役割

 速報

米統合軍「競争のための統合コンセプト」(Joint Concpet for Competing)発表とウォーゲーミングの役割


 2月10日、米統合軍コンセプト「競争のための統合コンセプト」(Joint Concpet for Competing)(公開版)が発表されました。
 「敵は戦わずして勝つを志向して戦闘に至らないレベルの活動を実施」という戦略環境の下、「戦わずして敗北することを回避すべく変化する必要」を提唱するとともに、競争戦略計画策定・開発等におけるウォーゲーミングの役割を重視しています。

 ご参考迄。

(了)

2023年2月26日日曜日

文献紹介 米海軍大学(NWC)の「ウォーゲーミング・サーベイ手法手引書」(Hadbook for Survey Develpment)

 文献紹介

米海軍大学(NWC)の「ウォーゲーミング・サーベイ法手引書」


 米海軍大学ウォーゲーミング部のDouglas R. Ducharmeによる "Handbook for Survey Development" が公表されました。ウォーゲームで参加者に対して様々な目的(データ取得、事実把握、標準的対応確認等)でなされる質問やその内容、質問への回答の扱い方(主に分析)に関する手引書(ハンドブック)です。
 ウォーゲーミングにおいてこの種のまとまった、かつ実用的な出版物は稀です。1887年来のウォーゲーミングの経験を有する米海軍大学ならではというべし。

 (※伝統とは強力なもので、"war game"という表記を容易に"wargame"に修正できないのですね。しかし、より重要なのは中身です。)

(了)

2023年2月23日木曜日

ウォーゲーミング備忘録:1980年~90年代の主な東アジア軍事衝突シナリオ

ウォーゲーミング備忘録
1980年~90年代の主な東アジア軍事衝突シナリオ
 

 本ブログ筆者の過去のウォーゲーミング備忘録の一部をデジタル化しました。懐かしいものもあれば、今でも有用なシナリオもあります。以下、メモです。

台湾海峡危機シナリオ:

中国(レッド・チーム)の戦略目標:台湾独立派封じ込め

最大の障害:米日同盟

危機シナリオ:

n  台湾海上封鎖

n  金門・媽祖島上陸

n  澎湖諸島空爆

n  対台湾ミサイル攻撃(※特に1995年~96年海峡危機後

n  特殊部隊投入

n  台湾奇襲攻撃

n  台湾・華南共同戦線(※2020年自由香港の実質的終焉で希薄化

n  核兵器限定使用

(出典:アジア軍事分析グループ21『アジア有事 七つの戦争』(二見書房、1996年)等)

 

朝鮮半島危機シナリオ:

n  北朝鮮人民軍南進

n  韓国内乱に乗じた北朝鮮人民軍介入

n  韓国軍北進(※今では最も非現実的

n  西海五島等限定的南北軍事衝突

n  北朝鮮体制崩壊(※90年代のドミナントなシナリオ

n  北朝鮮核・ミサイル攻撃(※1998年テポドン発射、2006年初の核実験以降継続してドミナントなシナリオ

日本への影響:航行中商船・漁船被害、機雷漂流、大量難民・政治亡命等

(出典:久保卓也『国防論:80年代、日本をどう守るか』(PHP1979年)等)

 

その他:

 ソ連軍日本上陸(北海道占拠)(※ソ連崩壊もロシアによる北方領土へのミサイル配備は現実化


 以上、御参考迄


(了)

速報 コネクションズ・ウォーゲーミング会議・オンライン 2023(Connections Wargaming Conference Online 2023)、4月開催!

 速報

コネクションズ・ウォーゲーミング会議オンライン 2023(Connections Online 2023)開催のお知らせ

 
 コネクションズ・オンライン 2023が以下の要領で開催されます。

日時:4月18日~20日 1000~1600(東部標準時)
(但し、前後の数日間各種ゲームイベントが開催される由)
●形式:オンライン
●主題:"The Enemy Gets a VoteーPlaying Red"

 ウォーゲーミングにおけるレッド・チームに焦点を当て、この際、曖昧性がある「レッド・ティーミング(Red Teaming)」概念についても再検討されるとのこと。

 詳しくはこちらで。

 ※ コネクションズ・オンライン派のサイトでは、コネクションズ・ジャパン(Connections Japan)のファミリーとしての認知度はまだまだのようです。前向きに行きませう!

(了)

 

2023年2月21日火曜日

緊急速報 英軍の女性を中心とした部隊の対独U-Boat・ウォーゲーム特集番組(Sky)、2月21日(火)放送開始!

緊急速報

英軍の女性を中心とした部隊の対独U-Boat・ウォーゲーム特集番組(Sky)、2月21日放送開始!

 第二次世界大戦中に行われた、英軍の女性を中心とした部隊 "The Western Approaches Tactical Unit (WATU)" によるドイツのU-Boat・ウォーゲームに関する番組が、Skyテレビで放送されます。
 放送開始は年2月21日(火)(現地時間)、6回シリーズで毎週放送される由。

 詳しくはこちらで。

(了)

2023年2月15日水曜日

ポーランド軍の「ウォーゲーミング ・ガイド」(Polish Armed Forces Wargaming Practioners' Guide)

ポーランド軍の「ウォーゲーミング ・ガイド」(Polish Armed Forces Wargaming Practioners' Guide)


 ポーランド軍のThe Doctrine and Training Centreからも「ウォーゲーミング実践者のためのガイド」(英語版)が出ました。ゲーム理論との関連がより意識的かつ明示的という特徴がまず目につきますが、とても実践的な内容です。
 そして、現在進行中のウクライナ戦におけるポーランド軍の役割が注目を浴びつつある、という点でタイムリーと思います。

(了)
 

2023年2月14日火曜日

番外編 ウクライナ戦のシステム・ダイナミクスモデル化の試み(Modeling and Simulating the Ukraine War 2022)

番外編

ウクライナ戦のシステム・ダイナミクスモデル化の試み

 (A System Dynamics Model & Simulation of the Ukraine War 2022)


 主に教育目的で、システム・ダイナミクス(System Dynamics)を使って先日紹介したランチェスター・モデルやリチャードソン・モデル(参考:「大国間競争」時代の日本の安全保障環境の変化に関するデータ分析―リチャードソン・モデルおよび相対パワー寄与率を中心に―」『選挙・投票・公共選択の数理』(共立出版)(pp. 275-304))に代表される競争・紛争モデルを表現し、シミュレーションを試行しています。

  
 基本構造はウクライナとロシアの2者間の戦いですが、長期的な消耗戦となれば継戦能力が鍵となり、ウクライナにとっては米・NATOによる支援がその決め手となるのでしょう
 上に示した "ざっくり(rough)" モデルの "ざっくり(roughly)" 試行では、1回を1カ月として50回(約4年間)Runしたところ、漸くウクライナの軍事レベルがロシアのそれを上回りました。
 今後、実データを増やしたり、学生と一緒に様々な想定や因果の可能性について考えます。

 本ブログ筆者自身は30年程前に学部・院(修士課程)の指導教授よりシステム・ダイナミクスの手ほどきを受けました。単なるモデリングのトレーニングに留まらず、論理的思考と創造性を養うには良いツールと思います。

(了)

 

2023年2月4日土曜日

番外編 ランチェスター・モデルでウクライナ戦シミュレーション(How Lanchester Would See the Russian Invasion of Ukraine: The Initial Attacks Feb-Mar 2022)

番外編

ランチェスター・モデルでウクライナ戦シミュレーション

(How Lanchester Would See the Russian Invasion of Ukraine: The Initial Attacks Feb-Mar 2022)

 安全保障論初学生指導用の一部資料です。各種ランチェスター・モデルのシミュレーションを通じて、現在進行中のウクライナ戦を考えるためのものです。

 内容は、ロシアとウクライナの現役兵力をそれぞれ85万と20万(Statista社のデータ(2022年)に基づく)とした上で、それらを初期兵力とし、兵器効率の比率を両者の技術が同じと仮定して1対1とした場合を想定し、ランチェスター線型モデル(いわゆる一次法則)およびランチェスター二乗モデル(いわゆる二次法則)で兵力消耗をシミュレーションしてみました。(※ 数値修正済)

 図1は線型モデルで兵器効率比を1対1とした場合の時間解、図2は同様にフェーズ解を図示したものです。

次に、ウクライナ軍への西側による兵器支援により同軍の兵器効率を上げた場合、をシミュレーションしてみました。図3は、線型モデルの場合、兵器効率比が対5となれば、ロシア軍の兵力消耗がウクライナ軍のそれを上回り、ウクライナ軍が優勢となる局面が現れることを時間解で図示したものです。他方、図4は、同様にフェーズ解で図示したものです。(※ 使用ソフト:ExcelおよびMaxima)


図1:線型モデルで兵器効率比1対1(ロシア優勢)







図2:線型モデルのフェーズ解(ロシア優勢)

   (Phase Representation)

図3:二乗モデルで兵器効率比1対5(逆転あり)


図4:フェーズ解(ウクライナ優勢となる局面あり)
   (Phase Representation)

 

 次に、二乗モデルの場合は以下の通りです。

図5:二乗モデルで兵器効率1対1(ロシア優勢)


図6:フェーズ解(ロシア優勢)

   (Phase Representation)


図7:二乗モデルで兵器効率比1対18.1(ウクライナ形成逆転あり)


図8:フェーズ解(ウクライナ優勢となる可能性アップ)
   (Phase Representation)

 しかしながら、現実には、兵器効率を5とか18.1に上げるのは至難の業です。果たして、西側はウクライナに有利なGame Changeが生起するように兵器支援をするでしょうか?

 なお、上記のシミュレーションでは集中攻勢(Concentration)を前提としており、二乗モデルにおけるトラファルガー型分散戦術(Trafalgar-type dispersion)の場合を除外しています。

 また、学生にはミサイル防衛を考慮した場合(いわゆる三次則)、「ゲリラ戦(Guerrilla Warfare Model)」の場合(いわゆる一次則・二次則混合)の他、兵力数を具体的な装備品(ドローン対ドローン等)にして考えてもらいます。

安全保障論の教員の方々、こうした簡易シミュレーションも有用ですよね。しかし、いくら原理的なことを講義できたとしても、場合によってはソフトの使い方の説明に多く時間を割かねばならなかったり、無料ソフトでも使い勝手が必ずしもよくないものもあったり、教える方も大変ですね。😓


(了)

2023年2月3日金曜日

速報 次世代コネクションズ(Connections Next Gen)のGame Jam、3月25日開催!

速報

次世代コネクションズ(Connections Next Gen)のGame Jam開催


 3月25日、次世代コネクションズがゲーム・ジャムを開催します。今回は、参加者が複数のチームに分かれ、それぞれ時間制限内で与えられたテーマについてゲームを作成する、というタスクが課されるそうです。勿論、各チームは作成したゲームを発表しなければなりません。
 また、テーマは全チーム共通の場合もあれば、それぞれ個別のテーマが付与される場合もあるそうです。時間制限は厳しそうなので、即興ゲーム作成は任せなさい!というツワモノは是非参加して下さい。
 参加申し込みはこちらで。

(了)



続報 2024年度米コネクションズ・ウォーゲーミング専門家会議参加登録及び宿泊情報(Breaking News: Connections US Professional Wargaming Conference 2024 Registration and Hotel Info)

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