ウォーゲーミング専門家に求められる能力:
米軍事OR学会(MORS)ウォーゲーミング研修の場合
先日の英コネクションズ・オンラインで提起された論点に、ウォーゲーミングの専門家育成において、デザイン能力と分析能力のどちらを優先すべきか、特に大学等の教育機関において、教師は学生にどちらに重点を置くように教育すべきか、というのがありました。一見無意味な質問と思われるかもしれませんが、就職活動で自分の「売り」をウォーゲーム・デザイナーとするかウォーゲーム・アナリストとするか、若い人たちには悩ましいことかもしれません。
では、世界各国の政府・国防当局や企業が求めているウォーゲーミング専門家の専門性/能力とは、どのようなものなのでしょうか? ウォーゲーミングは学際的な分野であるといわれます。そうであれば、ウォーゲーミング専門家は人文・社会科学系のみならず、自然科学・工学系の素養もあった方がよいということになるでしょう。
今回は、米軍事オペレーションズ・リサーチ学会(MORS)ウォーゲーミング専門家研修課程において、研修以前にある程度備えていることが望ましいとされる知識・素養について紹介します。
研修前にある程度備えていることが望ましいとされる知識・素養:
https://www.mors.org/Events/Certificates/Certificate-in-Wargaming
- 分析・訓練を目的としたウォーゲームに関する研究、デザイン(計画)、開発、実施、分析、報告に必要な能力、アナリストとしての能力および知識
- 定量的技能:数学、統計学、データ分析、形式論理、計量経済学、モデリング&シミュレーション(M&S)、オペレーションズ・リサーチ(OR)、ゲーム理論
- 定性的技能:国際関係学、政治学、経済学、歴史学、軍事史、社会学、人類学、経営学(ビジネス)、教育学、心理学
- 実践的技能:発表技能、プランニング技能、アート・グラフィックデザイン、フィジカルシステムデザイン、データ収集、ドメイン専門技能、ホビー・ゲーミング
- その他の技能:エクセル、ワード、パワーポイント、グラフィックデザインソフト、データベース言語・SQL、プログラミング言語(※ 粗訳失礼!)
また、課程のプラグラムは以下のとおりです。
1日目 デザイン
l ウォーゲームとは何か
l ウォーゲームとレッドティーミングの関係は?
l デザイナーはいかにウォーゲームをデザインするか?
2日目 アート(デザイン活動としてのウォーゲーム)
3日目 特別トピック
l 戦略的ゲーミング
l ファシリテーション
l ゲーム資料の作成
4日目:分析
l アナリストはいかにウォーゲームをデザインするか?
l いかにウォーゲームを分析するか?
5日目:実習
最後に、参加費用についてはMORSのサイトで御確認を。相場については容易に判断できませんが、例えば米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニア向けのプログラム(https://www.csis.org/programs/executive-education/global-policy-courses/wargaming-constructing-simulations-and)よりは安く、ファシリテーション一般のプログラムとほぼ同程度といったところでしょうか。期間や講師陣の顔ぶれも重要な判断指標となるでしょう。
(了)
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