2022年9月23日金曜日

ウォーゲーミング専門家に求められる能力:米軍事OR学会(MORS)ウォーゲーミング研修の場合

 

ウォーゲーミング専門家に求められる能力:

米軍事OR学会(MORS)ウォーゲーミング研修の場合

 先日の英コネクションズ・オンラインで提起された論点に、ウォーゲーミングの専門家育成において、デザイン能力と分析能力のどちらを優先すべきか、特に大学等の教育機関において、教師は学生にどちらに重点を置くように教育すべきか、というのがありました。一見無意味な質問と思われるかもしれませんが、就職活動で自分の「売り」をウォーゲーム・デザイナーとするかウォーゲーム・アナリストとするか、若い人たちには悩ましいことかもしれません。

 では、世界各国の政府・国防当局や企業が求めているウォーゲーミング専門家の専門性/能力とは、どのようなものなのでしょうか? ウォーゲーミングは学際的な分野であるといわれます。そうであれば、ウォーゲーミング専門家は人文・社会科学系のみならず、自然科学・工学系の素養もあった方がよいということになるでしょう。

 今回は、米軍事オペレーションズ・リサーチ学会(MORS)ウォーゲーミング専門家研修課程において、研修以前にある程度備えていることが望ましいとされる知識・素養について紹介します。


 研修前にある程度備えていることが望ましいとされる知識・素養:

https://www.mors.org/Events/Certificates/Certificate-in-Wargaming

  • 分析・訓練を目的としたウォーゲームに関する研究、デザイン(計画)、開発、実施、分析、報告に必要な能力、アナリストとしての能力および知識
  • 定量的技能:数学、統計学、データ分析、形式論理、計量経済学、モデリング&シミュレーション(M&S)、オペレーションズ・リサーチ(OR)、ゲーム理論
  • 定性的技能:国際関係学、政治学、経済学、歴史学、軍事史、社会学、人類学、経営学(ビジネス)、教育学、心理学
  • 実践的技能:発表技能、プランニング技能、アート・グラフィックデザイン、フィジカルシステムデザイン、データ収集、ドメイン専門技能、ホビー・ゲーミング
  • その他の技能:エクセル、ワード、パワーポイント、グラフィックデザインソフト、データベース言語・SQL、プログラミング言語※ 粗訳失礼!)

 上記全てが事前に求められるという訳ではないでしょうが、結構ハードルは高そうです

 また、課程のプラグラムは以下のとおりです。

日目 デザイン

l  ウォーゲームとは何か

l  ウォーゲームとレッドティーミングの関係は?

l  デザイナーはいかにウォーゲームをデザインするか?

2日目 アート(デザイン活動としてのウォーゲーム)

3日目 特別トピック

l  戦略的ゲーミング

l  ファシリテーション

l  ゲーム資料の作成

日目:分析

 l  アナリストはいかにウォーゲームをデザインするか?

 l  いかにウォーゲームを分析するか?

日目:実習

 最後に、参加費用についてはMORSのサイトで御確認を。相場については容易に判断できませんが、例えば米戦略国際問題研究所CSIS)シニア向けのプログラム(https://www.csis.org/programs/executive-education/global-policy-courses/wargaming-constructing-simulations-and)よりは安く、ファシリテーション一般のプログラムとほぼ同程度といったところでしょうか。期間や講師陣の顔ぶれも重要な判断指標となるでしょう。

(了)

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