2025年9月12日金曜日

速報:米陸軍大学校(AWC)がAIにより従来型の教育的ウォーゲーミングを強化 (US Army War College ”Back to the Basics in Wargaming with a Little Help from AI")

速報
米陸軍大学校(AWC)がAIにより従来型の教育的ウォーゲーミングを強化
(US Army War College "Back to the Basics in Wargaming with a Little Help from AI")

 米陸軍大学校 (Army War College)がAI (LLM)の助けを「ちょっと」借りて、伝統的なウォーゲーミングを強化して教育を行っているという記事の紹介です。
 記事は "Back to the Basics in Wargaming with a Little Help from AI." 同大学校の War Room に掲載されています。

日本語要旨

  • 1914年、Scientific America誌は当時の米陸軍大学校(USAWC)のウォーゲームを「遊びではなく、誤りから学ぶ教育手段」として評価した。
  • 従来のウォーゲームは、規則の厳格さや裁定の煩雑さが学習効果を阻害する課題を抱えていた。
  • 2026年度、USAWCは大規模言語モデル(LLM)を導入した単純な卓上演習を試行した。これにより、学生は計画に集中でき、教員の裁定負担も軽減された。
  • 演習「太平洋戦略」は、台湾独立と中国侵攻を想定し、3日間で危機・侵攻・戦闘を段階的に試行された。
  • 学生は米中双方の視点で戦略を策定し、LLMを用いて情報処理や計画補助を行った。
  • 教員はAIを活用して裁定・フィードバックを行い、結果は肯定的で成功と評価された。
  • しかし、課題として、情報セキュリティ(商用AI利用によるリスク)や地図表示方法、共通パラメータ整備などが指摘された。
  • 今後は、閉じたネットワークで稼働する堅牢なLLMや、ユーザーインターフェース改善、教員チームの多様性・事前訓練が重要である。
  • 総じて、「太平洋戦略」は大規模教育に適用できる単純さと現実性を両立した前進と位置付けられる。
 本ブログ筆者が認識しているだけでも、類似の試みは既に多数あります。既存のスタイルや手法を強化するだけでなく、コロナ以後に急速に開発されたオンライン方式や新たな「Distributed Wargaming」も進化しています。「新たな戦い方」に応じて、シナリオ自体もさらに多様化しています。
 本ブログ筆者も数か月前にこうした試みの1つに参加しました。それは著名なウォーゲーマーがたった1人で一般的な生成AIサービスを駆使して実施された新たな「Distributed Wargaming」でした。いや、それは最早Distributedではありません。実際にDistributeされるのは電子メールにあるリンク先だけです。リンクをクリックすれば、次に展開される世界は...。

 個人のレベルを越え、各種教育機関やシンクタンクの間でも多様な試みがさらになされることでしょう。

 ご参考迄

(了)


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