2023年7月2日日曜日

拙稿紹介:日本への核攻撃の可能性を考える 「核の三正面」時代のシミュレーションの観点より

 拙稿紹介:

日本への核攻撃の可能性を考える 「核の三正面」時代のシミュレーションの観点より


 上記表題の拙稿が『安全保障研究5-2巻6月号 日本が直面する核有事シナリオと核抑止及び軍備管理軍縮の将来』に掲載されました。

 以下、要旨です。
要 旨
  •  日本への核攻撃の可能性はあるか。この問いはトリッキーである。可能性はあっても蓋然性がない場合があるからだ。シミュレーションの世界では、考えられないことを考えることはむしろ自然であり、不可能な事 態でも可能なものと捉える。但し、シミュレーションはまず可能性が蓋然性の域に達する場合の条件に注目 する。即ち、可能性は特定の文脈やシナリオにおいて条件を絞ることにより蓋然的になると考える。他方、可能性を確率論の数字の世界から解放し、単に「シナリオ」という言葉に置き換え、日常言語のみで表現する手法もある。
  •  本稿は、日本が直面する「核の三正面」たる北朝鮮、中国、そしてロシアが脅威の度合いを高めている以上、その可能性も高まっていると評価する一方、これら3か国の核戦力は主に米国に対するものであり、又、現時点では米国による拡大抑止の有効性も維持されていることに鑑み、これら3か国が短期的に日本に核攻撃を行う蓋然性は低いと評価する。 
  •  しかし、本稿はその蓋然性が極めて高まるのは、日米同 盟の紐帯が弛緩するという状況の下、1)北朝鮮については朝鮮半島武力統一及び米韓による武力攻撃切迫認定、2)中国については台湾武力統一及び尖閣諸島侵攻、そして3)ロシアについては北方領土実効支配 強化というシナリオにおいて、日本が重大な阻害要因として認識された場合であるとの見方を提示する。又、これら3か国の意思決定や思考に焦点を当てたレッド・ティーミングを含むシミュレーションの構想を推奨する。
(了)
 

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