番外編
ランチェスター・モデルでウクライナ戦シミュレーション
(How Lanchester Would See the Russian Invasion of Ukraine: The Initial Attacks Feb-Mar 2022)
安全保障論初学生指導用の一部資料です。各種ランチェスター・モデルのシミュレーションを通じて、現在進行中のウクライナ戦を考えるためのものです。
内容は、ロシアとウクライナの現役兵力をそれぞれ85万と20万(Statista社のデータ(2022年)に基づく)とした上で、それらを初期兵力とし、兵器効率の比率を両者の技術が同じと仮定して1対1とした場合を想定し、ランチェスター線型モデル(いわゆる一次法則)およびランチェスター二乗モデル(いわゆる二次法則)で兵力消耗をシミュレーションしてみました。(※ 数値修正済)
図1は線型モデルで兵器効率比を1対1とした場合の時間解、図2は同様にフェーズ解を図示したものです。
次に、ウクライナ軍への西側による兵器支援により同軍の兵器効率を上げた場合、をシミュレーションしてみました。図3は、線型モデルの場合、兵器効率比が1対5となれば、ロシア軍の兵力消耗がウクライナ軍のそれを上回り、ウクライナ軍が優勢となる局面が現れることを時間解で図示したものです。他方、図4は、同様にフェーズ解で図示したものです。(※ 使用ソフト:ExcelおよびMaxima)
図1:線型モデルで兵器効率比1対1(ロシア優勢)
図2:線型モデルのフェーズ解(ロシア優勢)
(Phase Representation)
図3:二乗モデルで兵器効率比1対5(逆転あり)
図4:フェーズ解(ウクライナ優勢となる局面あり)
次に、二乗モデルの場合は以下の通りです。
図5:二乗モデルで兵器効率1対1(ロシア優勢)
図6:フェーズ解(ロシア優勢)
(Phase Representation)
図7:二乗モデルで兵器効率比1対18.1(ウクライナ形成逆転あり)
図8:フェーズ解(ウクライナ優勢となる可能性アップ)
しかしながら、現実には、兵器効率を5とか18.1に上げるのは至難の業です。果たして、西側はウクライナに有利なGame Changeが生起するように兵器支援をするでしょうか?
なお、上記のシミュレーションでは集中攻勢(Concentration)を前提としており、二乗モデルにおけるトラファルガー型分散戦術(Trafalgar-type dispersion)の場合を除外しています。
また、学生にはミサイル防衛を考慮した場合(いわゆる三次則)、「ゲリラ戦(Guerrilla Warfare Model)」の場合(いわゆる一次則・二次則混合)の他、兵力数を具体的な装備品(ドローン対ドローン等)にして考えてもらいます。
安全保障論の教員の方々、こうした簡易シミュレーションも有用ですよね。しかし、いくら原理的なことを講義できたとしても、場合によってはソフトの使い方の説明に多く時間を割かねばならなかったり、無料ソフトでも使い勝手が必ずしもよくないものもあったり、教える方も大変ですね。😓
(了)
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