論考紹介
米国防省の「ウォーゲーミング」への批判
(An New Article Critisizing US DoD Wargaming by P. Pournelle)
尊敬すべき実務家ウォーゲーマーPhillip Pournelle氏が、
"Does it Matter if You Call it a Wargame? Actually, yes." という論考をCenter for International Maritime Security (CIMSEC)の ブログに投稿し、ペンタゴンのウォーゲーミングを鋭く批判しています。以下、冒頭の要点を紹介します。
- 米国防省が「ウォーゲーム」と呼ぶものの多くは、実際にはウォーゲームではない。
- このような用語の乱用により、現実的な影響が生じる。
- 適切に実施されれば、ウォーゲームに類似した活動は必要かつ価値あるものとなるが、同省は真のウォーゲームとそれに類似した活動をより明確に区別する必要がある。
- ウォーゲームやそれに類似する活動の種類や形式、それぞれが適切となる場面、それらがどのようなものであるか、そしてそれらが何をもたらすのかを理解することは極めて重要である。
- ウォーゲームとは何か、そして何がウォーゲームではないのかを正しく理解しなければ、同省は資金、時間、そして人材を無駄にするリスクを抱えることになる。
- 特に、一定の集団が無構造な議論を行うだけでそれを「ウォーゲーム」と呼び、その結果スポンサーが「それを行ったおかげで準備が整った」と主張するようなケースが増加しているのが問題である。
- このような主張は自己満足的で独善的であり、組織的な学習を促進するものではない。
- 長年に亘り、分析・ウォーゲームの専門家コミュニティは、既知の基準と期待値を備えたツール・セットを開発してきたが、国防省のリーダーたちはこれらを熟知する必要がある。
- それは、政府のスポンサーは分析の大規模なエコシステムをコントロールしているからである。
- 知識を備えたスポンサーや顧客は、自らの目的に適した設計者やイベントを責任をもって選び、それによって優れた戦略を生み出すことが可能となる。
- 本稿は、ウォーゲーム及びそれに活動の種類と形式、それらが適切な場面、それらがどのようなものであるか、そしてそれらによって得られるもの(そして同じくらい重要なこととして、得られないもの)について簡単に説明する。
- なお、本稿は同省の政策支援としてのウォーゲームと分析に焦点を当てたものであり、教育や娯楽のためのウォーゲームを対象としたものではない。
彼のウォーゲーミングに関する言説は常に舌鋒鋭く、かつ知性に溢れています。そして、愛に満ちているようにも感じます。勿論、これはブログ筆者の偏見ですが。
とまれ、まずは御一読を。
※ 本ブログ筆者はUS DoDを「国防総省」と訳すことに消極的です。逆に、米国の国防機関に他国のそれと別の和訳を当てる積極的な理由があるのでしょうか。
(了)
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