2024年4月7日日曜日

英ウォーゲーミング界の新展開:英防衛実験・ウォーゲーミングハブ設立! (The UK Defence Experimentation and Wargaming Hub Launched!)

 英ウォーゲーミング界の新展開:

英防衛実験・ウォーゲーミングハブ設立!

 (The UK Defence Experimentation and Wargaming Hub Launched!)

 327日、英国防省が「防衛実験及びウォーゲーミングハブ」を正式に設立しました。詳しくはこちらで。

 場所は英国南部のSouthwick Park、既に国防ウォーゲーミングセンターがある英国防科学技術研究所(Dstl)の近くであり、英海軍の本拠地ポーツマスの近くでもあります。設立に当たってはDstlも協力した由。

 また、BBCの報道では、同ハブは20239月に既に設立されていたようですが、この度正式に設立が発表されました。

 

 同ハブは、英国防部門の実験・ウォーゲーミングの本拠地(home)として意思決定支援を担う由。グローバルな脅威が高まる不確実な世界の将来を見据え、同ハブは軍事ドクトリン、技術的イノベーション、そして学術的専門知識のギャップを埋めるべく、各種シナリオのシミュレーションや卓上演習(tabletop exercise: TTX)等に従事するとのこと。

 さらに、今後は、

  •  即応ウォーゲーミング(at-readiness rapid wargaming)の提供
  •  再構成可能型500平方メートル以上の施設の建設
  •  ウォーゲーミングのデータ・ツール・シナリオ集積
  •  専門家によるウォーゲーミングの助言・デザインの提供

 が予定されている由。

 

 以下私見ですが、米海兵隊の新たなウォーゲーミング・プログラム及び新施設建設に続き、英国でも2010年代半ば頃から始まった新たな動きが、こうして一層顕著な形で表出したと見ることができます。

 また、今回の防衛実験及びウォーゲーミングハブの設立でDstlのウォーゲーミング・センターの役割がどうなるか定かではありませんが、「ハブ」がネットワークの中軸であるとすれば、Dstlを含め他のウォーゲーミング機能は「スポークス」としての役割を果たすのかのしれません。専門家の間では相互に切磋琢磨が活発化するとともに、人材の共有が促進され、ひいては英ウォーゲーミング界が盛り上がるかもしれません。さらには、英国の動きが75周年に向けて活気づいているNATOのウォーゲーミング部門にも良い影響を与え、欧米のウォーゲーミング界全体が躍動するのでしょう。勿論、「切磋琢磨」が足の引っ張り合い、縄張り争い、予算分捕り合戦にならない保証はありませんが、そうならないことを切に祈ります。まあ、これは杞憂でしょう。

 さらにさらに、現在就職先を求めているウォーゲーミング専攻の学生諸君は、新たな具体的目的地に向かって一層精進するでるでしょう。彼らの送り元である大学・教育機関でのウォーゲーミング教育プログラムも、一層充実することでしょう。

(了)


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