2025年11月9日日曜日

ウォーゲーミング動向:台湾の民間シンクタンクによるウォーゲーミング推進プロジェクト(How a Taiwanese Defense Thinktank is Promoting Wargaming)

ウォーゲーミング動向

台湾の民間シンクタンクによるウォーゲーミング推進プロジェクト

(How a Taiwanese Defense Thinktank is Promoting Wargaming)


 臺灣國防倡議(Taiwan Defense Studies Initiative)という臺灣の国防研究機関が、高校生のウォーゲーミング教育からより実践的な海峡危機に関するウォーゲーム実施まで、幅広くウォーゲーミング促進のための活動をっています。
 比較的新しい民間シンクタンクですが、若手中心に頑張っているようです。
 米国では中国の専門的ウォーゲーミングの動向に注目が集まっているようですが、臺灣の動向も重要です。
 日本でもこうした動きには目配せしておく必要があるでのはないでしょうか。

  • The Taiwan Defense Studies Initiative, a national defense research organization in Taiwan, conducts a wide range of activities to promote wargaming — from educational wargaming programs for high school students to more practical exercises focusing on potential cross-strait crisis scenarios.
  • Although it is a relatively new private think tank, it appears to be driven by a dedicated group of young researchers.
  • While the US wargaming community has recently been paying close attention to developments in China’s professional wargaming community, Taiwan’s trends in this area are equally significant.
  • Japan, too, should keep a watchful eye on such movements.


 ご参考迄

(了)





2025年11月4日火曜日

速報 (Breaking News):MORS Journal of Wargaming Vol. 2, Issue 1 Published!(待望の第2号漸く発刊!)

 速報

 Breaking News

MORS Journal of Wargaming Vol. 2, Issue 1 Published!

(待望の第2巻漸く発刊!)


 遂に発刊されました。アクセスはこちらで。

以下のようなラインアップです。

-Building an Urban Wargames Database

 David Burden

-Analytical vs Educational Wargames: A Dichotomy?

 Johan Elg

-Integrating Nonlethal Weapons into Professional Wargames

 Sydney Litterer

-The Contribution of Cyber Simulations to Cyber Wargaming

 Ambrose Kam


 いずれも興味深い論文で、大変勉強になります。著者は重量級のWargamerから新進気鋭の方迄揃っています。

 第1巻もこちらからどうぞ。

 ところで、My impression is that this journal has not been advertised as emphatically as the other MORS journals. Am I the only one who feels that way?

 また、故Peter Perla博士の名前がAdvisory and Editorial Boardに戻っていて良かったです。


 とまれ、ご参考迄。


(了)


2025年10月10日金曜日

速報:英海軍幹部が新第一海軍卿就任後初のウォーゲームを実施(Breaking News: First Sea Lord oversees new series of Royal Navy strategic wargaming)

 

速報
英海軍幹部が新第一海軍卿就任後初のウォーゲームを実施
(First Sea Lord oversees new series of Royal Navy strategic wargaming)

107日付けの『英国海軍ニュース』は、930日に英海軍(Royal Navy)幹部たちが新任の第一海軍卿(First Sea Lord)による初めてのウォーゲームに参加した旨報じています。

このウォーゲームは、ウスウィック・パークにある防衛実験ウォーゲーミング・ハブ(Defence Experimentation Wargaming Hub)で行われ、第一海軍卿のグウィン・ジェンキンス大将(General Sir Gwyn Jenkins)の他、第二海軍卿のポール・ビーティー中将(Vice Admiral Paul Beattie)及び艦隊司令官のスティーブ・ムーアハウス中将(Vice Admiral Steve Moorhouse)が参加した由。

開会の挨拶で、ジェンキンス大将は次のように述べました。

「ウォーゲームは、我々が今日直面している脅威に対し、今日保有している戦力をどのように適用するかを理解するのに役立つ。 このウォーゲームから、我々は既に進めている戦闘計画をさらに高いレベルに発展させることができる。それにより、国家の信頼性を担保し、抑止力を維持できるようになり、防衛統合戦力の一部として国家を守るという、我々の任務と目的を果たすことができる。」

参加者たちは不安定化する地政学的な状況下で作業し、緊張が高まり、活動がエスカレートするシナリオにおいて、英海軍がNATOと連携してどのような行動をとるべきかを追求した由。

 

 詳しくはこちらで。

 

 ご参考迄

 

(了)

2025年9月28日日曜日

番外編:速報 第9回米・UAE合同軍事対話(JMD)開催 (Breaking News: U.S. and UAE Conduct 9th Joint Military Dialogue)

 番外編

速報
第9回米・UAE合同軍事対話開催
(Breaking News: U.S. and UAE Conduct 9th Joint Military Dialogue)


 202592526日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビにおいて、第9回米UAE合同軍事対話(JMD)が開催されました。

 米当局による報道はこちら


 JMDは米UAE防衛協力を推進する最重要の二国間会合であり、共通の安全保障上の懸念や地域課題を協議し、共同戦略を構築する場です。

 今回の会合では、防空・ミサイル防衛、軍事協力、対外軍事販売、新技術開発など幅広いテーマが議論されました。

 また、米国防イノベーション部門とUAEタワズン評議会との新たな協力や、UAEとテキサス州州兵のパートナーシップ・プログラムについても議題となりました。

 両国は「主要防衛パートナー(MDP)」として、軍事協力や能力開発、長期的防衛協調を一層強化することを確認し、近く特殊部隊に関する意向表明文書に署名することでも合意しました。

 なお、米国がMDPに指定しているのは世界でUAEを含む2か国のみであり、両国は「力による平和」という共通の理念のもと、相互尊重と共通利益に基づく防衛関係をさらに発展させていく方針を再確認しましました。


 ご参考迄


(了)



論考紹介:「ウォーゲーミング史からの若干の教訓」(Jorit Wintjes, "It's all about mentality - some lessons from wargaming history")

 論考紹介

「ウォーゲーミング史からの若干の教訓」

(Jorit Wintjes, "It's all about mentality - some lessons from wargaming history")


 Jorit Wintjes博士(ヴュルツブルク大学、ユリウス=マクシミリアン大学上級講師)によるLinkedin上の論考 "It's all about mentality - some lessons from wargaming historyをご紹介します。

すべては心構えにかかっている ―― ウォーゲーミング史からのいくつかの教訓

要旨

  • プロイセン陸軍におけるウォーゲーミング導入200周年(2024年)及びドイツ海軍でのウォーゲーミング導入150周年(2026年)に挟まれたこの時期に、ウォーゲーミング史から得られる教訓を回顧する。
  • 19世紀初頭のプロイセンでは、ウォーゲーミングは当初若手将校の娯楽であったが、訓練予算不足の冬季教育手段として制度化され、やがて軍学校や部隊教育に広まった。
  • その普及には公式の採用だけでなく、駐屯地ごとに生まれたウォーゲーミング・クラブの存在が大きく、将校が自由時間に遊びながら自然とウォーゲーミングに親しむ文化を形成した。
  • これは英陸軍が1872年にウォーゲーミングを導入した際も同様で、ボランティア部隊や士官クラブ、下士官向けクラブが全国的に広まり、ウォーゲーミングの裾野を広げた。
  • ここから得られる教訓は三点である。
  • 抵抗を乗り越える必要性 ウォーゲーミングを教育手段として定着させるには反発を克服しなければならず、有力な推進者がいても十分ではない。継続的に実施できる「ウォーゲーミングを受け入れる心構え」が不可欠
  • トップダウンだけでは不十分 参謀の教育課程など形式化された教育に組み込むだけでは形骸化の危険がある。むしろ日常の枠外でもウォーゲーミングを奨励し、自ら企画・実施できる人材を育てることが重要
  • ウォーゲーミングは将校専用ではない ウォーゲーミングは「頭脳の体力訓練」として下士官も含むあらゆる階層に有益であり、軍事作戦に不可避な「摩擦」への柔軟な対応力を養うため、全指揮系統で活用されるべき
  • すなわち、ウォーゲーミングを軍事教育に根付かせるには、制度的導入と並んで、クラブ活動や草の根の普及を通じて「ウォーゲーミングに前向きな心構え」を醸成することが決定的に重要


 ご参考迄


(了)

 

2025年9月22日月曜日

速報:2025年度豪コネクションズ・ウォーゲーミング会議開催予定(Breaking News: Connections Oz Wargame Conference 2025)

速報

2025年度豪コネクションズ・ウォーゲーミング会議開催日決定

Breaking News

Connections Oz Wargame Conference 2025


 今年の豪コネクションズ(Connections Oz)の開催日が決まりました。今年もオンラインのみの開催です。

日程:2025年11月12日(水)~13日(木)
主題:発表募集中

 平日開催ですが、オンラインなのでより柔軟に参加できるのではないせしょうか。

 ご参考迄

(了)

2025年9月12日金曜日

速報:米陸軍大学校(AWC)がAIにより従来型の教育的ウォーゲーミングを強化 (US Army War College ”Back to the Basics in Wargaming with a Little Help from AI")

速報
米陸軍大学校(AWC)がAIにより従来型の教育的ウォーゲーミングを強化
(US Army War College "Back to the Basics in Wargaming with a Little Help from AI")

 米陸軍大学校 (Army War College)がAI (LLM)の助けを「ちょっと」借りて、伝統的なウォーゲーミングを強化して教育を行っているという記事の紹介です。
 記事は "Back to the Basics in Wargaming with a Little Help from AI." 同大学校の War Room に掲載されています。

日本語要旨

  • 1914年、Scientific America誌は当時の米陸軍大学校(USAWC)のウォーゲームを「遊びではなく、誤りから学ぶ教育手段」として評価した。
  • 従来のウォーゲームは、規則の厳格さや裁定の煩雑さが学習効果を阻害する課題を抱えていた。
  • 2026年度、USAWCは大規模言語モデル(LLM)を導入した単純な卓上演習を試行した。これにより、学生は計画に集中でき、教員の裁定負担も軽減された。
  • 演習「太平洋戦略」は、台湾独立と中国侵攻を想定し、3日間で危機・侵攻・戦闘を段階的に試行された。
  • 学生は米中双方の視点で戦略を策定し、LLMを用いて情報処理や計画補助を行った。
  • 教員はAIを活用して裁定・フィードバックを行い、結果は肯定的で成功と評価された。
  • しかし、課題として、情報セキュリティ(商用AI利用によるリスク)や地図表示方法、共通パラメータ整備などが指摘された。
  • 今後は、閉じたネットワークで稼働する堅牢なLLMや、ユーザーインターフェース改善、教員チームの多様性・事前訓練が重要である。
  • 総じて、「太平洋戦略」は大規模教育に適用できる単純さと現実性を両立した前進と位置付けられる。
 本ブログ筆者が認識しているだけでも、類似の試みは既に多数あります。既存のスタイルや手法を強化するだけでなく、コロナ以後に急速に開発されたオンライン方式や新たな「Distributed Wargaming」も進化しています。「新たな戦い方」に応じて、シナリオ自体もさらに多様化しています。
 本ブログ筆者も数か月前にこうした試みの1つに参加しました。それは著名なウォーゲーマーがたった1人で一般的な生成AIサービスを駆使して実施された新たな「Distributed Wargaming」でした。いや、それは最早Distributedではありません。実際にDistributeされるのは電子メールにあるリンク先だけです。リンクをクリックすれば、次に展開される世界は...。

 個人のレベルを越え、各種教育機関やシンクタンクの間でも多様な試みがさらになされることでしょう。

 ご参考迄

(了)


ウォーゲーミング動向:台湾の民間シンクタンクによるウォーゲーミング推進プロジェクト(How a Taiwanese Defense Thinktank is Promoting Wargaming)

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